第3回 お坊さん
ตอนที่ 3 พระสงฆ์


タイ人の朝は早い。朝市で買い物をする習慣があったり、日中は暑いので過ごしやすい朝に動いておくという理由もあるのかもしれない。
でも、朝が早い一番の理由として、特にバンコクでは出社時の渋滞回避のため朝早くに家を出る人が多いのだろう。
朝早くに家を出ると必ず目に入るのが、托鉢をするお坊さんである。
タイ人が、成人や結婚、親族の不幸などの節目に短期出家をするのはタイにかかわっている方ならご存知のことだろう。
今回は、私が、だいぶ昔に体験した短期出家から、僧侶の一日を簡単にご紹介しようと思う。何分昔のことで記憶も曖昧になっている。その点はご勘弁願いたい。

僧侶の一日(早朝)
僧侶の朝は、タイ人のそれよりも一段と早い。私がお世話になった僧侶は朝4時に起床、4時半には大きな鉢を両手に抱えて托鉢に出発した。
2週間の出家生活で、一度だけ寝坊をしてしまったが私も毎日同行させてもらった。
僧侶の服装はオレンジ色の袈裟で足は裸足。日の出前なので、あたりはまだ真っ暗。僧侶ごとに托鉢に回る方角が決まっており、私の場合は20-30分くらい歩いた先にある街であった。托鉢へ向かう途中、正に今産み落とされたばかりであろう暖かいの犬の“アレ”を踏んだこともあったが、出家生活の賜物だろうか、まったく動揺せず、心はいたって平静であった。しばらく足を地面にこすりつけて歩く必要があったこと以外は。。。

街を歩いていると、信者たちに呼び止められる。
毎朝同じ家だったり、同じ場所で待っていたりと大抵は同じ顔ぶれである。
呼び止められて、喜捨を受ける。鉢のふたを開けて待っていると、まずはご飯、そしてビニル袋に入ったおかず、お菓子、たまに封筒に入った現金が喜捨される。昔は、ごはん、おかずはビニル袋には入れておらず僧侶は喜捨を受けたものを混ぜて食したらしい。実践はできなかったが、その方が仏教の教えに正しいと個人的にはおもう。
喜捨を受けた後は、僧侶はお経をごにょごにょと唱えるのだが、短期出家で、パーリ語のお経もうろ覚えだった私は、文字通り「ごにょごにょ」と唱えていたのを覚えている。

タイ人の信心深さは、評判通りで私のような、お経もまともに唱えられないものにもたくさんの喜捨をしてくれた。
私が行動を共にした僧侶が、少し有名な方であった所為もあるが、毎朝大きな鉢に入りきらないほどの喜捨を受けた。鉢に入りきらないものは、僧侶のお付きの青年の肩掛けカバンに収納されていく。そのかばんが2つ3つと満杯になったのだからかなりの量の喜捨を受けているといっていいだろう。
そうなると、困るのは帰り道。先輩僧侶も私も大きな鉢に満杯のごはん。お付きの青年はおかずでいっぱいのカバンを抱えている。これで、朝歩いた距離を戻るのはかなりつらい。
ということで、帰り道は、当時また安かったトゥクトゥクに乗った。
正直、「お坊さんもトゥクトゥクに乗っていいのか?」とは思ったが、深いことは考えないことにしていた。

托鉢が終わって、僧房に戻るのが6時半ごろ。足を(念入りに)洗って、喜捨を受けた食物をいただく。欲を出してはいけないという生活ながら、大量の喜捨のおかずから、美味しいもの、好きなものを“お付きの青年が”選んでくれて、美味しくいただく。
この時点でまだ朝7時半なのだが、長くなりそうなので、続きはまた次回ということにさせていただきたい。