来月10月13日でタイ国民から絶大な敬愛の対象であったプミポン前国王が崩御されて丸一年が経過する。タイ政府は、プミポン前国王の荼毘を10月26日と定め、その日は全国的に休日となる。葬儀自体は荼毘の前後5日間10月25日~29日で行われる。
前国王の葬儀については、やはり特別な儀式が行われるわけだが、今回は皆様にも参加する機会があるかもしれない一般の葬儀についてご紹介したい。
① 日程
誰かが死亡するとまず、家族や友人の内、故人と同年代か年下の人々により水注ぎの儀式が行われる。これは生前にあったいさかい事などを許してもらうためのもので、右手に聖水を注ぎ個人に許しを乞う。生前にあったお互いのわだかまりをなくすことで故人も晴れやかな気持ちで天国へ旅立つことができる。その後、お葬式は火葬施設のあるお寺で行われ、日程は故人の地位等により奇数日間(3,5,7など)行われる。式は家族主催、職場主催、友達主催と毎日主催者が変わり、荼毘は最終日に行われる。毎日参列できるのが良いが、1日だけでも構わない。
② 葬儀マナー
参列者は、式場に到着するとまず遺族にご挨拶をし、香典を渡す。その後、祭壇に向かって3度合掌して拝む。その後遺族より線香を受け取り棺にさらに1度合掌して拝む。そして遺族に線香を返して、着席をする。式は、僧侶が間を開けて3度お経をあげる。その間参列者は合掌をして聞いており、3度目のお経の後に軽食が配られる。軽食が済むと4度目のお経があり、参列者は順次解散となる。解散する前に再度、棺に3度と1度合掌して拝むこともあるようだ。
③ 服装・香典
服装は、基本黒色で襟付きであること。肌の露出は良くない。学生は制服でも構わないが、会社員は白シャツに黒ネクタイか、黒いシャツに黒のネクタイ。襟付きが規則なのでポロシャツでも構わないが、T-シャツはだめ。日本では喪服が絶対なので、それに比べると少しカジュアルである。そのため日本人の感覚でおかしくない格好であれば問題ないと思う。
香典は、タイ人の会社員であれば200バーツ程度が一般的だが、タイでは日本人は管理職ないし一般タイ人よりは高い給料をもらっていることも多いと推測されるので、500-700バーツ程度を用意すればよいだろう。ご自分が社長であるとか、相手が位の高い人である場合は、さらに多い金額になることもあると思うが、そこはご自身で判断していただきたい。封筒を用意することも忘れずに。
香典のほかに献花することもできるが、お店に頼むと500バーツ程度から花輪を作ってくれる。会社から、同僚一同、友人一同など様々。
④ 荼毘・納骨
参列する日が葬儀の最終日であった場合、荼毘がある。それまでは、式は夜に行われるが最終日は日中に行われ、僧侶のお経の後、火葬場へ移動。棺は親族が担いで火葬施設の周りを3周回ってから火葬施設に安置される。その後親族より花(ドークマイチャン/ Dokmai Chan /ดอกไม้จันทน์)を配られ、その花を火葬施設の棺の下ないし指定の場所に置く。この時に気を付けなければならないのが、家族から花を渡されたとき、それをまた誰かに渡してはいけないということ。例えば、後ろに並んでいる友人に取ってあげるなどしてはいけないということだ。この献花は死者に対するものであり、それを誰かに手渡すことは、縁起が悪いといわれている。日本で、ごはんをよそったお茶碗に箸を突き立ててはいけない。(それは仏壇に挙げるときの作法だから)というようなものかもしれない。親族が最後のお別れをしてから火がつけられ荼毘に付される。
荼毘が終了すると納骨が行われるがこれに参加するのは親族や親しい間柄の人に限られるだろう。タイには日本のようなお墓はなく、納骨堂や仏塔、お寺の壁に納骨する場所がある。その後はタイ正月や命日に家族が集まってお墓参り、僧侶を招待してのお経をあげるなどの供養が行われる。
以上がタイのお葬式のご紹介となる。遺族への挨拶、合掌してからの手順、服装、香典、など日本と似ているようで異なるタイの葬式だが、重要なのは故人や遺族に対する気持ちであると思う。わからないからといって開き直ったりせずに、真摯な態度で参加することが一番の良策であると思う。
ドークマイチャン
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